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2010-04-05 00:00
民主主義の錦の御旗は通用するか
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
箸にも棒にもかからない。ひどい迷惑を被っているのだが、なんとも手の打ちようがない。という困ったてあいが、世の中には存在する。北朝鮮の将軍さまなどというのは、一方の典型だが、経済制裁なるものが一体効き目があるのか、逆効果に過ぎないのか。蓮池さんが意見を異にして、家族会から脱退したという話もある。脱退しようがしまいが、将軍さまは痛くも痒くもないことに間違いはない。事情はいささか異なるものの、ミャンマー(ビルマ)の愚かな老将軍たちも、これに準じるだろう。こちらのほうは、お隣のこれまた困った大国が肩入れしているから、経済制裁の効果も極めて限定的だ。
ついこの間までなら、民主主義の錦の御旗を掲げた国際騎兵隊みたいなのが出てきて、しゃにむに政権をぶっ倒し、あとはどうなときゃあなろたい、みたいな乱暴なやり口もありだったが、流石に一方ではこの手口はうまくゆかない事が解るにつれ、他方ではやたらカネ食い虫の国際騎兵隊の財布もなくなりかかって、沙汰やみになりそうな趣である。まして、一寸の虫も核兵器を持っている、みたいな話になってくると、少し躊躇いも出ようというものだし、そうなればなったで、よその国が核兵器を持つことのインセンティブになりかねない、という懸念が表面化したりする。要するに、手詰まり感の再登場であり、どうにも困ったね、と世界中のあちこちで思案腕組みである。
何も海の外まで出てゆかなくても、犬を振り回している尻尾の、人もなげな振る舞いだとか、こもったまま人前に出てこない闇将軍、さらには、こことおもえばまたあちら、と牛若丸ばりにぶれまくっている某国の指導者。挙句の果ては、証明は出来ないけど犯人はあいつだ、と他でもない司法の執行責任者が公言して憚らない国。世も末だ、と首を振っていても、何も解決しない。忍耐強く説得を続ける、という春風作戦に徹するか、なんらかの強制措置をみんなが合意の上で設定するか。後者の方がそんなに簡単ではないのは、地中海のマグロで先刻証明ずみだろう。
頭をかち割ってまわるよりも、頭数を数えた方が早い、と人類が悟ったのは、そんな旧い話ではない。それをどれほど骨身に沁みて悟っているか、というのも一つの議論だが、その悟りが民族や国境みたいなものを超える事が出来るかどうか、という歴史的実験はまだ途上であり、まだ証明された事実ではない、という認識が必要だろう。証明される保証もない、というのも怖いところだが、こちらの方は見て見ぬ振りをするしかないかもしれない。
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