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2010-03-29 00:00
政局動向、4つのシュミレーション
杉浦正章
政治評論家
まずは空想物語。千葉県鴨川市のリゾートホテルの夜。幸夫人から「あなた絶対辞めることないわよ」と励まされた首相・鳩山由紀夫。28日は市内の天津神明宮に参拝、「“国民の皆様”のために頑張り抜く」と誓ったのだった。ありそうなことだ。しかし週明けの東京で鳩山を待っていたのは、普天間問題に「政治とカネ」、亀井静香の異常なる暴走。そしてこれら「失政」のすべての原因が首相・鳩山由紀夫の統治能力の欠如に端を発しているという驚くべき現実。いったい政権を取り巻く情勢はどのような展開を見せるのだろうか。さすがに筆者も読みにくい。7月の参院選挙前後の可能性を、シミュレーションで分析してみた。結果は4ケースか、その折衷型に落ちつきそうだ。4ケースのうちいずれの場合も、鳩山か小沢の辞任なしに乗り切ることは困難である。鳩山の言葉をあえて使えば、「小鳩体制」維持は「針の穴に縄を通すほど難しい」。
【5月×日鳩山辞任】「最低でも県外」のはずであった普天間移転問題をめぐって、県内移設に反対して沖縄で空前の規模の反対集会が行われた。「鳩山辞めろ」のシュプレヒコールがとどろいた。東京でも連立を離脱した社民党党首・福島瑞穂が金切り声を上げて、デモの先頭に立った。もちろん米国も現行案がベストとの方針を崩さず、現行案でなければ普天間の基地機能を維持し、海兵隊のグアム移転もないと主張した。鳩山は5月末日ついに首相辞任を決断、後継に菅直人を指名した。民主党は代表選挙を経て菅を代表に選出。菅は「小沢切り」へと動き、内閣党人事を刷新しようとしたが、時間切れで小沢擁護派と抗争状態のまま参院選挙に突入した。
【6月×日小沢辞任へ】小沢の居座りで鳩山内閣支持率はついに20%の危険水域に突入した。「小沢辞任すべし」の世論調査結果は90%を越えた。党内からは第2、第3の「生方発言」が出て、仙谷由人、前原誠司、枝野幸男など閣僚や反小沢系議員らから小沢辞任論が公然と台頭。渡部恒三にいたっては「オレ小沢君と刺し違える」と述べる始末。既に28日のTBSで述べているが、もう一度述べる。鳩山は菅直人、仙谷由人ら旧民主党の“仲間”と謀って「小沢切り」へと動くこととした。7奉行ももちろん同調した。事態を察知した小沢は、鳩山に秘密会談を申し入れ、党分裂をちらつかせて「辞任カード」を切る代わりに、代表代行で執行部にとどまり、選挙に専念する約束を取り付ける。選挙後への勢力温存を図ったのだ。小沢辞任で民主党の支持率は回復し始めたが、逆に「政治とカネ」の追及は鳩山一本に絞られ、内閣支持率は低迷。参院選は予断を許さな情勢となった。
【6月×日小鳩共倒れ】5月末の普天間問題決着が、こともあろうに参院選以降に先送りされ、世論の鳩山辞任要求は頂点に達した。これに「政治とカネ」批判が連動して支持率は10%台まで低下。鳩山はついに野垂れ死に型の辞任をせざるを得ない状況となった。しかし党内有力議員らから、「小沢をこのままにして辞めるのは無責任」との声があがった。鳩山は小沢と会談して「私も辞めるから、あなたも党のために辞めて欲しい」と、連ぺい辞職を持ち出した。小沢も首相が辞める以上職にとどまることは困難と判断、幹事長を辞任した。民主党は急きょ代表選挙を実施、菅と岡田克也が立候補。菅が勝って岡田を幹事長に据える新挙党体制が成立。新体制のイメージ刷新効果で民主党と内閣支持率が戻り始める中で、参院選へと突入した。
【小鳩辞任せず参院選へ】このケースは自民党にとってこれ以上望めない最良の選択だ。普天間移転問題は地元と米国の反対で失敗。「政治とカネ」も併せた、ごうごうたる世論の辞任要求にもかかわらず、鳩山と小沢が結託して辞任を拒否。参院選に現体制のまま突入した。結果は、小選挙区での当選がわずか1議席という、大惨敗であった。逆に自民党に議席が戻り、みんなの党は躍進した。政権参加に垂涎状態だった公明党も、さすがに連立を組むわけにもゆかず、参院は与野党がねじれ状態に陥った。勢いに乗って自民党は早期解散総選挙を要求、政局は激動状態となった。さすがに鳩山も、小沢も敗戦の責任を取って辞任。代表選挙が行われることとなった。
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