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2010-02-25 00:00
公・民接近に「一・一ライン」の影
杉浦正章
政治評論家
四面楚歌で窮地にある首相・鳩山由紀夫にとって見れば、公明党代表・山口那津男の急接近ほどありがたいことはあるまい。まさに地獄に仏の心境であろう。永田町筋によれば鳩山・山口急接近の背景には眠っていた「一・一ライン」の復活があるという見方が生じており、にわかに“きな臭さ”が増している。公明党常任顧問に就任した市川雄一と幹事長・小沢一郎のラインの連携が稼働しはじめたとすれば、参院選後の政治地図は民・公主導型の参院ねじれ阻止へと発展しうる。民・公連立となれば政権のお荷物社民党を切ることも可能だ。
出来レースとみられる党首討論で、政治資金規正法改正での与野党協議機関設置で一致したのに加えて、またまた用意周到な鳩山・山口会談だ。山口は「新・介護公明ビジョン」を提出、鳩山は直ちに厚労相・長妻昭に検討を指示するという段取りだ。事前の準備無くして野党の提言を首相が直ちに呑むことはあり得ない。山口は引退して7年になる市川を常任顧問に据えたが、狙いは民主党政権への接近にあることは明白だ。「一・一ライン」とはいわゆる非自民・非共産連立政権だった細川護熙内閣と羽田孜内閣における小沢一郎と市川雄一の2人の連携を指す。市川引退後も2人は年に数回会食をしており、親密な関係を維持している。
鳩山にしてみれば、山口の度重なる提言は、政治的には野党から救いの手がさしのべられたという位の意味を持つ。ここでのポイントは「政治とカネ」という政治倫理度外視の接近であることだ。おそらく永田町筋の推測通り「一・一ライン」が裏で動いているのだろう。そこには「政治とカネ」での政権批判とは裏腹に、山口のしたたかな戦略があるのだろう。公明党を第3極と位置づけ、参院選後にキャスチングボートを握ろうという狙いだ。一方で小沢にしてみれば、参院選単独過半数は「政治とカネ」で極めて困難視されるに至っており、加えて政権内に教条的な社民党を抱えて、外交・安保上のアキレスけんとなっている。普天間問題も社民党を切らなければことは進展しまい。常識的な公明党の政権参画は政権の安定にとっては極めて重要となってきているのだ。
これまでのところ山口の姿勢は、政策面での政権“擦り寄り”に絞られている。もともと福祉政策などについては、公明党は自民党より民主党に近いのが実情だ。鳩山の首相就任直後のCO2の25%削減表明に、当時の環境相・斉藤鉄夫が「高く評価したい」とエールを送ったのが始まりだ。しかし公明票は比例区で最大900万票に近い。選挙協力は各選挙区の自民党候補の死活問題となっている。山口は自民党との協力は「白紙」としたが、地方組織レベルでは自公協力がまだ作動している選挙区は多い。長崎知事選も自公協力がうまくいった例だ。公明側の一方的な支援が多いが、自民票で公明候補が有利となっている選挙区もある。山口が民放テレビで「民主党との選挙協力は考えていない」と述べているのは、こうした事情を背景にしている。
したがって参院選挙前に、民主党との選挙協力が俎上(そじょう)に昇ることはまずあるまい。しかし選挙後の連立の可能性となれば、話しは別だ。とくに民主、自民いずれも過半数に達せず、公明党がキャスチング・ボートを握ったケースだ。自民と組んで衆参ねじれを起こすか、民主と組んで政権に参画するかだ。山口の狙いはおそらく民主党政権への参画を目指しているに違いない。もちろん「一・一ライン」の狙いもそこにある。それにしても「あれよ、あれよ」という間に公明党の離反を許している自民党首脳の目先の利かなさは、度し難いものがある。
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