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2010-02-21 00:00
核密約問題決着後、核政策をどうするのか?
河東 哲夫
研究員
いま日本で問題になっているのは、1970年代初め沖縄の施政権が日本に返還された後も、米軍が沖縄基地に核兵器を持ち込むことを、日本政府が暗黙のうちに認めるという、「密約」が日米間にあったかなかったかということである。
日本は「核不拡散条約」に核兵器非保有国として入っているため、「核の傘」を米国に依存している。それなのに米軍が核兵器を日本に持ち込むことを公に認めていないのは、日本が唯一の被爆国だからだろう。だがソ連の圧倒的な通常兵力に脅かされていた欧州では、ドイツ、ベルギーなど核兵器非保有国に米軍の戦術核兵器がいくつも配備されている。
問題は、「密約」があったとして、そのことを今の政府が公表したあと、どうするつもりなのか、ということだ。米軍の核兵器持ち込みをこれからは大っぴらに認めることとし、非核三原則を修正するのか、それとも米軍の核兵器持ち込みは今後は一切認めず、核の傘は米軍の潜水艦積載の核ミサイルに全面依存するのか、そしてそんなことで日本は核兵器面での抑止力を十分確保できるのか、ということである。この点が今、全然議論されていないのは、奇異なことだ。
日本に届くミサイルを持っているのは、北朝鮮だけではない。中国の保有する核ミサイルについては十分な情報がないが、北朝鮮をはるかに上回る能力を持ち、日本に届き得る中距離ミサイルをいくつも持っているのは確実である。中国とは「友愛」、「友愛」で大いに友好関係を進めるべきだが、他方で、抑止力も十分に整備しておかないと、「お人好し外交」と言われる結果になるだろう。1980年代初期、西ドイツのシュミット首相は、一方でアフガニスタンに侵攻したソ連とのよりを戻すべく努力しながら、他方でソ連の中距離ミサイルSS20の配備に対抗する米国の中距離ミサイル・パーシング2型ミサイルの欧州配備を実現すべく奔走していた。
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