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2010-02-08 00:00
支持率逆転は鳩山の“小沢目線”にある
杉浦正章
政治評論家
「不起訴後」の世論調査結果が物語るものは、超重量級の“おんぶお化け”に抱きつかれたまま、波間深く首相・鳩山由紀夫が沈んでゆく姿だ。幹事長・小沢一郎を切り離さなければ、再浮上は不可能だ。鳩山は抱き合い心中か、1人だけ助かるかの選択を迫られる時がくる。筆者が2月2日にいち早く報じた「進退窮まり『ポスト小沢』がうごめく」の図式は、7日になって毎日新聞が詳報しているが、いったんはおさまったものの、今後節目節目で「ポスト小沢」問題として浮上しよう。自民党はようやく支持率が泥沼状態から抜け出る兆候を示しており、自民党拒絶の有権者の厚い壁にキリで穴を開けたほどの薄日が差し始めた。全国紙の調査結果が示す方向を大きく見れば、鳩山政権に対する期待感に亀裂が入り、代わって覆い難い幻滅感が生じている。まず不起訴による小沢続投については、「黙許できない」が圧倒的である。朝日68%、読売74%、毎日69%が「続投反対」という数字は、普通の政治常識がある国民からはすべて「ノー」を突きつけられたことを意味する。
問題は、この小沢に対する憤まんが内閣支持率にどう反映するかだが、朝日と読売で「支持」と「不支持」が逆転しており、大きな転換を見せている。朝日で支持率41%、不支持率45%、読売で支持率は44%、不支持率は47%と言う結果だ。これは小沢続投が内閣支持率を直撃していることを物語っている。要するに、鳩山には“小沢目線”しかなく、“国民目線”がない。そのことに起因している。鳩山の口癖である「国民の皆様のために」が、いかに国民にうつろに響いているかの証左であろう。注目すべきは朝日、読売の投票先の政党調査で、民主党と自民党の差が狭まってきていることだ。朝日の「いま投票するなら」が前回の民主36%、自民23%から、民主34%、自民27%に大きく差を狭めた。とりわけ無党派層では民主に投票の回答が16%にとどまり、自民が22%と大きな差をみせている。これは民主党離れをした浮動票が、一部自民党に向かう兆候を見せているいることを物語っており、大きな傾向の変化だ。
この調査結果がいみじくも示す方向は、鳩山が小沢を擁護し続ければ、更に支持率が低下傾向をたどり、参院選挙で民主党が過半数を取る事などは、とてもおぼつかないということであろう。歴代内閣でも、一度落下に転じた支持率はまず反転しない。最近では小泉内閣の調査で最低が34%まで落ちたものが、退陣時に43.2%まで回復した例があるが、例外だ。マスコミ幹部との飲み会に出ても「民主党に政権を取らせて失敗した」という話で持ちきりだ。「時代を変える」と言う期待が幻想に終わりそうな兆候が見え見えだからである。これは新橋や新宿の酒場でも同じだろう。
焦点は、鳩山が小沢を見限れるかどうかだ。小沢を頼るしか能力がないように見える鳩山が、そのリーダーシップを発揮できるかどうかだ。筆者がいみじくも2日に「ポスト小沢」の動きを見出しを取って指摘したように、政権主流から幹事長差し替えの動きが台頭したのである。毎日は1面で「官邸、一時“ポスト小沢”選び」と報じている。筆者は参院議員会長・輿石東だけを挙げたが、毎日によると国対委員長・山岡賢次や選対委員長代理・海江田万里の名を挙げて官邸サイドが検討したという。しかし山岡はとかく黒いうわさが、ささやかれており、いくら何でも無理だろう。まだ“うごめき”の段階にすぎないが、当然“危機対策”として鳩山周辺は折に触れてささやき合うだろう。反小沢グループが渡部恒三や外相・岡田克也を推す可能性もある。もっとも鳩山は自らの“子ども手当”の弱みがあり、「小沢辞任」となれば「鳩山辞任」に連動しかねない点があることを指摘しておく。
事態は昨年の小沢の代表辞任と酷似している。秘書・大久保隆規が3月24日に起訴され、マスコミの小沢批判がおさまらず、これでは総選挙にならないと党内が動いて、5月に辞任となった。当時渡部は「小沢君は党全体を見て判断してくれる」と暗に辞任を迫ったが、いまも「歴史に残る決断をすると思う」と全く同様の発言をするようになった。今後昨年と同様にマスコミと自民党の挟撃が続き、与党内でも反小沢の動きが出ることは避けられない。民主党にとって一番よい選択は、5月に鳩山が普天間基地の辺野古移転を決断して、小沢と共に辞任することだ。朝日も「時時刻刻」で7日、「政界の一部では夏の参院選前に首相自らが退陣するのではないか、との見方さえとりざたされはじめた」と書くに至っている。確かに新体制で出直せば、まだ国民の支持は取り戻せる。出直し改革が不可欠だ。それができれば参院選で過半数も夢ではない。またそれしか民主党が盤石の体制を作り上げる道はあるまい。小沢は得意中の得意の辞任カードを切ることだ。
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