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2010-01-16 00:00
(連載)メドベージェフ大統領のロシア批判の意味(3)
袴田 茂樹
青山学院大学教授
私はこれら2つの見解にそれぞれ真実が含まれていることを認めながらも、第三の見解を述べたい。2009年秋にメドベージェフが過激とも言える体制批判の言葉を発しているのは、2009年春以後の国際エネルギー価格の動きと、またそれに関連したロシア国内の雰囲気の変化と密接に関係している。つまり、国際的なエネルギー価格が再び上向いたために、危機意識と改革機運が急速に後退していることに対して、大統領が強い警告を発した、というのが筆者の解釈である。
2008年7月に一時バレル当たり147ドルにまで上昇した原油価格はその後急落し、12月には30 ドル台にまで落ちた。これに伴い、対ドル・レートを高めていたルーブルも下落した。しかし2009年春以後原油価格は再上昇し、9月以後は70ドル台になり、今後もこの水準を維持するか、さらに上昇するとの見通しが強くなった。ルーブルの下落傾向にも歯止めがかかった。こうして、前年の2008年の暮れにはロシアの経済危機も深刻になり、政府の指導者や経済人の間でも構造改革の必要性が痛感されていたが、春以後の再上昇で再びロシアの政界でも経済界でも楽観気分が支配的となり、今日のロシアにおいて最も必要とされている経済・社会の構造改革の機運が大幅に減退してしまったのだ。
ちなみに、メドベージェフの強い現状批判に関しては、次のような厳しい見方もある。つまり「彼が事態をしっかり理解しており、真剣に改革をしようとしていることに間違いはない。しかし、彼の改革政策のすべては、単なるスピーチかキャンペーンに終わっている。反汚職闘争がその典型だ。大統領は、最も腐敗しているのは治安組織であると述べた。しかし、治安組織の汚職はまったく減っていない」という見方だ(『独立新聞』2009.10.12)。(おわり)
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