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2010-01-09 00:00
対GDP比180%の国家債務をどうするのか?
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
日本の国家債務額を対GDP比で見れば、ジンバブエに次いで世界第2位のひどさだとCIA(どうしてCIAなのかは詳らかにしないが)が発表した。先刻ご承知の180%ではあるが、ダモクレスの剣だとは誰も思わないようで、「へえ、そうかい」みたいな感じだ。そうでもなければ、あんな超能天気な予算は組めない筈だし、何よりも「だからどうする」の処方箋がはっきりしているようで、実は余りはっきりしていないから、「皆で渡れば怖くなくなっている」趣もある。
身分不相応な支出をし続けた挙句だから、誰が考えても対策は「入るを図って、出るを制す」以外になかりそうなものだが、これがまた異論が様々で、増税をすれば景気が悪くなって税収が減るだの、支出を減らせばこれまた景気が悪くなってますます税収が減り、なんのことはないデフレ・スパイラルみたいなことになる、という卓説をお持ちの方も事欠かない。
ものの順序としては、ムダ遣いを切り詰める方が先だ、というのは民主党のスローガンだった筈だ。そして亀井さんが何とおっしゃろうとも、それは正しい。事業仕分けが様々な理由で思ったほどの成果を挙げなかった。今度は枝野さんが格上げになったから、もう少し何とかなるだろう。埋蔵金発掘に熱心な大蔵大臣もいらっしゃることだし、単年度で10兆円くらいの手当ては出来るかもしれない。でも、それは悪化を食い止めるだけの話で、180%が漸減してゆくのは、先の話になる。
先の話とは他でもない、消費税と景気回復のことで、これのいづれを先行させるかについて、異見があるようなことを言う人がいる。少し考えてみれば誰にでも解るのだが、こうすりゃ景気が良くなるという処方箋があれば、誰だってそれを先行させるに決まっていようというものだ。内需拡大だの、中高年の労働力化だの、エコだBOPだと、能書きにことは欠かないが、鳩山首相の演説と同じで、文学的ではあるが、さて何をするのかさっぱり見えない。
大事なのは国民を挙げて「その気」にさせることではないのか。能書きだけでその気になると考えているのなら、とんでもない愚民政治観だ。嘘でも良いから一連の具体策を列挙して、政官財、国民挙げてその気になることしかなかろう。それが出来なければ、政治家ではないし、その知恵も出せないようなら、そんな御用学者は存在意義を喪う。あれをしたらこんなマイナスがある。これをしたらこんな羽目になる、と言い募る類いの議論には、国民は正直飽き飽きしているのではないだろうか。規制撤廃で日本は良くなる、と国民に信じさせた小泉・竹中コンビが、ことのほか懐かしく思いだされる。
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