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2009-11-30 00:00
オバマ支持率低下の理由
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
あのオバマ政権の支持率がついに50%を下回ったという。その理由としてメディアが挙げるものを要約すると3点になる。最大なのは、一向に景気が低迷を脱しないことだという。第2に、アフガニスタン増派、第3に、国民皆保険に対する反対の強さだという。
景気の話はさておくとすれば、イラクの腐敗政権と決別して泥沼化を避け、憎さも憎い9.11の張本人アル・カイダが立てこもるアフガニスタンに全力を傾注する、というのは当初合理的な選択と考える人も多かった。ところが、アル・カイダだけを相手にする筈が、なんとタリバン一般、さらにはアフガニスタン民衆の敵意までを相手にせざるを得なくなる。こうなれば、表現は悪いがベトナム戦争化は避けられず、007なみのよほどの奇策でオサマ・ビン・ラディンの首でも挙げない限り、際限ない消耗戦にもつれこみそうだ。もとはといえば、西欧流の民主主義を至高の善として、歴史や経済の発展過程、民度といったものはお構いなしに、これを導入させたツケが回ってきたに過ぎない。中には日本占領で余りうまく行き過ぎたから、ついその気になったんだという人もいるが、まあ、それはさておくとして、オバマの不人気の原因の大きな一因になっているとすれば、お気の毒という他はあるまい。
国民皆保険に対する米国国民の反発というのは、正直感覚的には理解し難いものがある。要するに、ろくに働きも努力もしない奴らの面倒を、なぜ汗水たらして働いたわれわれが見なきゃいけないんだ、という話と、「丸太小屋からホワイトハウスへ」という例の努力神話。つまり、アメリカン・ドリームというのは、努力と幸運の関数であって、誰にも等しく与えられるという話がないまぜになった産物だとでもいう他はあるまい。それにしても、無保険状態の人が国民の半分を超えるというのは、日本から見れば異常だし、これを何とかしようとするオバマ政策は極めて妥当なものに思われるが、景気不振と財政赤字が手を取り合っているご時世は、やはり彼にとって逆風であったということだろうか。
景気の話はもとより、アフガニスタンの話を安全保障問題と読み替え、国民皆保険を社会のセーフティネットとそれに対する財政支出の是非、と読み替えれば、オバマの問題はそのまま鳩山政権の問題点であることが知られるであろう。空前の人気が、果たして同じ理由によってある日50%を割ることになるのかどうか。どうやら景気回復が要になりそうなのだが、それについては稿を改めてみたい。
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