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2009-11-23 00:00
漢字文化圏は知的世界の秋葉原を生み出せるか?
四条秀雄
不動産業
漢字は、東アジアにおけるラテン語のような存在だと言えます。欧米文明は、政治権力の源であるラテン語で書かれた聖書や古典の解釈を巡る知的な格闘によって鍛えられ、その秀でた能力を開発し、獲得してきました。その伝統に従い、今日でも新しい概念には、往々にしてラテン語の意味を組み合わせた命名が行われます。この点が漢字の機能とよく似ています。
漢字文化圏での初等中等教育では、何千字もの漢字の学習に非常に長い時間を費やします。かつては、これは非常に無意味な作業だと言われてきましたが、実際には、数千個に区別された意味を数千個のシンボルに結びつける技能訓練であったと考えるならば、教育として無駄ではなかったことが分かってきました。意味を分けること、組み合わせることが、知的作業の一部であることは間違いないでしょう。また、諸子百家や十八史略などの中国の古典は、漢字文化圏で共有しうる多くの比喩やプロット構成を提供してきました。
しかし、それにも関わらず、漢字文化圏は欧米文明の後塵を拝してきました。それはおそらく、テキスト解釈を巡る世代や時間を超える知的格闘を継続できなかったからだろうと思います。漢字文化圏の可能性を切り開いてきた日本人は、明治以降、欧米文明に比較的よく適応をしてきましたが、近年ソフトウェア分野で著しく差を広げられる残念な状態になっています。ソフトウェアも、目的に沿った部品の構成である点は違いがありませんが、目に見えない分、部品の品質保証や、構成された部品が正常に動作するか等、すべて頭の中で行わなければなりません。
そういう点で、日本は劣っているわけです。日本人は秋葉原に集まって真空管やトランジスタやICチップを集めては、ラジオや卓上計算機を作ることには成功しましたが、知的世界の秋葉原を創ることはできませんでした。集まることもできない。部品の保証もできない。部品に詳しい店主もいない。だから、何かを作ろうというスタートラインにも立てないのです。どうしたら、知的世界の秋葉原を日本に生み出すことができるのでしょうか?その鍵は、私が以前から何度も言ってきたことですが、欧米におけるテキスト解釈の伝統を日本の教育や知的活動のプロセスに組み込むことだと考えます。
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