ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2009-11-18 00:00
(連載)鳩山首相の「東アジア共同体」構想について(3)
関山 健
東京財団研究員
東アジア共同体のイニシアティブについては、誰がイニシアティブを取る「べき」かというよりも、誰がイニシアティブを取ることが「できる」かということが、問題だ。東アジア共同体が具体的な実務協力の積み重ねの先にある以上、「べき」を議論するのではなく、「できる」ことから協力を進めていかなければ、共同体は実現しない。したがって、中国でも、日本でも、ASEANでも、東アジアの地域協力を推進する意思と能力があるならば、誰がイニシアティブを取っても良かろう。誰かが主導する協力が地域各国にとっての利益になるならば、それが東アジア共同体に向けたイニシアティブとなる。
ただし、どこか一国が東アジア共同体に向けた全ての分野で協力を主導できるとは考えにくい。実際には、中国、日本、韓国、ASEANなどが、自由貿易、金融、安全保障など、それぞれの特徴を活かした分野でそれぞれ協力を主導していくこととなろう。言い換えれば、東アジア共同体は日中韓ASEANの共同イニシアティブで進めていくのが現実的であり、かつ実現可能性が高いと考える。
他の地域へ目を移すと、現在世界で起こっている動きの一つは、地域統合の競争である。東アジアに先行して地域協力が進んでいた欧州や北米では、1990年代後半に協力の進展が鈍化したものの、東アジア地域協力の進展に刺激され、地域統合に向けた動きが加速した。
ここで我々が気をつけなくてはならないのは、こうした地域統合が相互に閉鎖的となってしまうことである。地域間で閉鎖的な統合が進み、相互に競争するようになれば、人類は20世紀前半に犯した世界大戦の過ちを繰り返すことになりかねない。したがって、東アジア共同体に向けた様々な取り組みは、インド、ロシア、オーストラリアなどの周辺国との協力や欧州や米国との地域間協力の道を排除することなく、開放性と包容力を持って相互に開かれた関係の構築を目指し、実現可能な分野から一つ一つ協力を積み重ねていかねばなるまい。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会