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2009-11-17 00:00
(連載)鳩山首相の「東アジア共同体」構想について(2)
関山 健
東京財団研究員
鳩山首相は、ASEAN首脳会議終了後の10月25日、記者団に対して「東アジア共同体構想は長期的なビジョンだ。5年や10年で簡単に実現できるという話ではない。一歩一歩積み重ねていく話だ」と述べている。つまり、「東アジア共同体」構想は、鳩山首相自身が明確に述べているとおり、短期的な目標ではなく、長期的な理想にすぎない。したがって、その実現の可能性を議論するのは時期尚早であろう。
国際政治学の地域統合理論に「spill over」という概念がある。欧州において第2次世界大戦後、石炭・鉄鋼生産の共同管理などの実務的な協力の継続が、関係国間の信頼醸成に貢献し、やがて他分野へも波及(spill over)して、経済の統合から安全保障や政治の統合へと発展していった実績を踏まえて、唱えられている概念だ。
東アジアにおいても、貿易、金融、通貨、エネルギー、環境、災害救援など、東アジア各国自身のために協力が必要な分野は少なくない。分野によっては、協力がより容易な分野もあれば、より難しい分野もあるが、実現可能な分野から一つ一つ協力を積み重ねていくことで、徐々に包括的な協力へと「spill over」していくことが期待される。
少なくとも東アジアの「経済」共同体は、現在の国際情勢の前提を根底から覆すような大変動が発生しない限り、実務的な協力を長年積み重ねてゆけば、その先に自然と出来上がっていくであろう。実際、東アジアにおいては、1997年のアジア金融危機への対応をきっかけに地域協力が進み、いまや自由貿易、金融、防災など多くの分野へと「spill over」が進んでいる。(つづく)
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