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2009-11-17 00:00
鳩山政権の支持率は、構造的低落傾向
杉浦正章
政治評論家
政権成立早々「満月は欠ける」と予測したが、もう「半月」になりつつある。報道機関の内閣支持率が急落傾向を見せている。一般国民にとって、「鳩山ええじゃないか」の踊りがばからしくなってきた証拠だろう。今後、「鳩山不況」と失業率拡大、首相の統治能力の欠如、マニフェスト至上主義の破たんなど、マイナス要因には事欠かない。早晩50%を切って、落ち続ける流れだろう。筆者は当初の高支持率が、本来の政権支持でなく“疑似支持”であったのだろうと思う。しかし、支持率の受け皿がない。自民党支持率が低迷していることがその証明だ。当面国民の政治への不満はうっ積せざるを得ないだろう。朝日新聞が2か月で9ポイント下落の62%、読売が前回比8ポイント下落の63%、時事通信が前回比6.2%減少の54.4%と下がっている。主要な原因は、刹那主義を特色とする浮動層・無党派層の支持が下落したことにある。朝日の場合、当初の55%から39%へと激減している。
新政権とのハネムーン期間は3か月とされているが、2か月で大幅下落した原因はどこにあるのだろうか。まず第1に挙げられるのが、発足当時の70%を越える支持が、目くらましであって、本来の支持でなく、“疑似支持”であったことだ。選挙結果は、紛れもなく自民党に対する積年の不満がもたらしたものであり、民主党支持ではなかった。民主党がそこにあったから投票したに過ぎない。したがって、下落は当初から予想できたものであった。今後の展開はどうだろうか。下落は構造的なものとして続かざるを得ないだろう。なぜなら国民の政権支持の判断基準が、ようやく本来の政策の是非に戻りつつあるからだ。政策の判断基準となれば、民主党のマニフェストの是非にとどまらず、現政権の統治能力にも及ぶ。まず端的に言えば、緊急の課題である景気対策に対応できているかどうかである。筆者はできていないと見る。第1次補正予算の3兆円凍結にしても、タレント議員や何の資格か民間人がしゃしゃり出て、山下・パーシバル会談の「問答無用、イエスか、ノーか」と迫るような「事業仕分け」にしても、パフォーマンスが濃厚で、足が地に着いていない。
「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズは踊るが、景気に即効性のある公共事業が激減傾向にある。7-9月のGDP速報値はプラスとなったが、これは前政権の景気対策と民主党政権の否定する外需依存でこぎ着けたものだ。現政権は発足以来2か月、パフォーマンスが政治だと勘違いしている。肝心の景気対策に眼が行かないのだ。何一つ手を打っていない。それどころか、財政危機は増幅する流れだ。95兆円もの概算要求は自らの責任そのものであり、国債発行額は44兆円以下に抑えることは困難だろう。これを見越して長期金利は上昇傾向をたどっており、「景気の二番底」がささやかれるゆえんだ。「鳩山不況」は忍び寄ってきているのだ。そして一番の問題が首相・鳩山由紀夫自身にある。首相という地位には、くまなくスポットライトが当たる。そのスポットに浮かび上がってきた姿が支持率を下げる流れだ。
巧言令色という言葉が当てはまるが、鳩山は度が過ぎている。赤字国債の発行、オバマとの会談の「背信行為」、臆面もなき天下り人事とすべてが過去の発言がブーメランとして自らにぶつかっている。そして最大の支持率下落要因は「故人献金」問題。近く裁判が始まる小沢一郎の西松建設疑惑とも併せて、政権全体の支持率を下げるだろう。もっともふがいないのは、今に始まったことではないが、自転車事故でいまだに立ち上がれない総裁・谷垣禎一とその率いる自民党だ。自民党はいまだに立ち上がる気配がない。自民党支持率は内閣支持率下落で上がるどころか、下がっている。時事の調査でも、同2.4ポイント減の15.3%にとどまっており、他紙も同様だ。テレビに出てくるのが年寄りばかりでは、無理もない。覇気もないし、第一希望がない。内閣支持率下落の受け皿になっていないのだ。
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