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2009-11-06 00:00
(連載)「東アジア共同体」に共通基盤ありや?(1)
吉田 重信
元駐ネパール大使、元駐上海総領事
わが国新政権の政策展開に伴い、「東アジア共同体」構想がにわかに脚光をあびてきた。この構想は、わが国内では学者や言論人たちにより、また海外ではマレーシア政府や中国政府などによって提唱されてきた。この構想にわが国歴代政権は消極的だったが、新政権は前向きになったといえる。かくしてわが言論界では、支持論とともに、反対、批判論がこれまで以上に盛んになっている。反対論は、大別して(1)EUと異なり、アジアの関係諸国間には、価値観をはじめとする共通の基盤が乏しく、とくに中国は一党独裁体制であるので、この構想は現実性を欠く、(2)中国に追随し、その策略にはまり、日本には有害となる、(3)日本外交の基盤である日米同盟を弱体化する、の3論である。
まず、比較的妥当な批判と考えられる(1)の反対論について考えたい。現在、アジア諸国には、政治体制の違いにもかかわらず、科学・技術をはじめ文化、社会面で同質化が進み、とくに経済を中心に共通した価値観や行動様式が普遍化している。近年市場経済主義に転じた中国では、その兆候がとくに著しい。この地域では、域内の貿易が域外との貿易を上回るなど、経済的相互依存、共生関係が進展し、ヒト、モノなどの交流の発展速度も飛躍している。
筆者の実生活でも、この地域に住む知人、友人たちとは、電話やメールで日常的にやりとりしている。このように、アジア地域には、共同体の実態が形成されており、それが日々発展しつつあるといえる。現に、日中両国内の主要交通施設内の標識には、英日中韓語が使用されているではないか。
では、伝統的価値観の面では、どうか?アジア諸国、とりわけその中核となる日中韓には、人種をはじめ、伝統的価値観、文化的様相など、共通ないし類似した要素が、根強く存在している。これは、アジア諸国と欧米諸国との彼我の基層的様相の違いと比べれば、明白であろう。ここに共通するものは、古代、中世に形成された、いわゆる「中華圏世界」を支えたもの、つまり、人々の意識や日常的な生活習慣から、文化、社会、政治に及ぶものである。統治の原理においてさえも、たとえば「お上を敬う」とか「長いものに巻かれる」といった、民衆の潜在意識や行動に及ぶものまで、共通するものがある。ここには儒教や仏教の影響があるとの指摘もある。(つづく)
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