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2009-10-30 00:00
米国の覇権とアフガン戦争
岡崎 久彦
岡崎研究所理事長
ニューヨーク・タイムズ10月6日付で米シンクタンクCNASの Robert D. Kaplan が米国の覇権にとってのアフガン戦争の意味を論じています。それによると、「中国は、米=NATO軍の庇護の下にアフガニスタンで大銅山を開発しているが、こうした例が示すように、米国が犠牲を払って帝国の秩序を維持しようとしている間に、実際に得をするのは中国など周辺諸国であり、それが米帝国衰退の原因となり得る。アフガン戦争は、今撤兵すれば米国の威信を傷つけるので、続けざるを得ないが、長期的にはこうした地上戦に捲きこまれる戦争は今回を最後にして、あとは、海空軍を中心に大陸の外から介入すべきだ」と論じています。
結局は、これも今種々論じられているアフガン戦論争の一つです。そして言っていることは、この戦争はここまで来てやめるわけにはいかないが、こんなことをやっていると、米国の力が損耗する一方、将来米国の覇権にとって代わろうと虎視眈々と狙う他国に利するばかりだから、こうした戦争はこれでお仕舞にして、後は海空軍が大陸の外から介入すべきだと、言っているわけです。
これは全く賛成できる論旨ですが、それは、米国の犠牲の下で今得をしているのが中国だからであり、利するのが米国の同盟国であるならば、アフガン作戦も建設的な戦略の一つになりえます。
例えば、ベトナム戦の最大の受益者は日本と韓国でした。日本経済の高度成長期に出現した「いざなぎ景気」はベトナム戦の賜でしたし、韓国の経済発展の端緒もベトナム戦であり、二個戦闘師団を派遣した韓国は米国から特別な地位を与えられるようになりました。さらに、東南アジアが共産ゲリラに対する敗北主義から脱し、ASEANを設立して現在の繁栄の基礎を築いたのも、ベトナム戦によるものでした。今回のアフガン介入が、パキスタンの安定と、米パ関係の強化につながるのならば、アフガン戦争も一つのプラスになります。日本がアフ・パク協力の中心にパキスタン援助を置いているのは、この意味で正しい方向だと言えるでしょう。
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