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2009-10-17 00:00
大義に向けて日本にも出来ることは多い筈だ
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
遅ればせながら、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞は良いニュースだった。「1回演説をしただけで、まだ何もしていないじゃないか」という評もあるが、当たらない。米国大統領があの演説をしたところに意味がある訳で、その限りでは孔子様の「言を以て、人を挙げず」にも、また人を以て言を挙げたような結果になったことについても、背いたことになる。ただし、核の問題についてあの演説が醸し出した雰囲気の持つ意味を考えれば、受賞者選考委員会は良い判断をした、と思わせる。
その華々しいデビューにもかかわらず、オバマ政権は多事多難の途を歩んでいる。最大の国内政策と目された国民皆保険については反対が強く、かろうじて上院委員会は共和党女性議員の造反(?)によって通過したものの、決して予断を許す状態ではない。イラクからは出来るだけ早く手を引き、憎さも憎いアル・カイダにアフガニスタンで集中的に対応しよう、というシナリオも、イラク国内の治安状態が米国撤退を許さないこともあって、一向にままならない。ハマスに代わってファタハがパレスチナの主導権を握ったことによって希望が持たれたパレスチナ情勢も、米国がイスラエル政府の説得に成功しなかったこともあって、依然手詰まり状態にある。
もとはといえば、司馬遼太郎にいわせると「他の地域のひとびとも、アメリカのような自由な社会をもつほうがいい。いや、われわれアメリカ人はそれを他の地域におよぼす親切心をもっているべきである」という、アメリカ人の奇妙な性癖に起因する事態も少なくない。さらにいえば、その民主主義の押しつけが、なまじ日本でうまくいったから、余計拍車がかかった、と見られないでもない。しかし、それらの要素を織り込んでもなお、核の悪夢に対して正面からこの大国が向き合う、と宣言した意味は大きい。が、オバマ大統領にもサポーターは必要だ。アメリカが全ての分野で、全ての資源の面倒を見られる時期はとうに過ぎた。
大義に向けて日本の出来ることは多い筈だ。それあって始めて「対等のパートナー」にもなろうし、日米同盟はより強固なものになる。東アジア共同体を謳い上げるのは大変結構だ。しかし、それが非核地域としての共同体であることが望ましい、と踏み込むことも可能だろう。広島・長崎がオリンピック共同招致に名乗り出たのも結構だ。しかし、オリンピック憲章には反するかもしれないが、核廃絶に向けての努力を闡明した国以外は招待しない、くらいの留保を付することだって可能ではないか。民主党は所与とされた既存の枠組みからの自由を標榜している。所与の既存枠組みは国内の官僚制だけではない。
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