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2009-10-14 00:00
天下り問題の本質は、それが形を変えた汚職であること
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
わずか1週間に満たない期間ではあったが、政治の舞台ではいろいろなことが起ったようだ。そのほとんどは民主党の新機軸に関わるもので、多少いかがかというものも見受けられないではないが、新鮮な試みとして、先ずはお手並み拝見、というのが適当な対応のように思われるものが多い。
ただしそれらに対する論評の中で、マスコミの「脱官僚、天下り絶滅」といった議論、特に「天下り禁止」の議論が極度に枝葉末節に陥っているように思う。その典型は「天下り・あっせん禁止では不十分」(朝日10.12朝刊3面社説)だろう。この社説は、あっせんはさまざまな再就職ルートの一つに過ぎず、もっと総合的に「裏ルート」の根絶や、「官僚が天下り先を優遇する道を封じた一方、省庁が外郭団体として設けた公益法人の整理」も進めよ、という。(ちなみに「省庁が外郭団体として設けた」公益法人とそうでない公益法人を区別して論じたメディアは稀で、この点は朝日を高く評価する。)
ことは現役官僚がOBを優遇する道を塞いだり、優遇の為に設けた外郭団体を整理すれば良い、という話ではなかろう。そもそも、天下り官僚の問題というのは、この失業時代に再就職先まで面倒見てもらえていいな、というやっかみの話でもなければ、ましてその給与水準が1千万だ2千万だという話ではない。国家権力を官僚の私益と結びつけるのは形を変えた汚職に他ならず、許されるべきことではない、というのが原点だ。特定産業振興の為に租税特例措置によって税制上の優遇措置を講じるのは国家権力の行使だ。しかし、その措置の適用に関して影響力を行使したこと、期待できること、の故に元官僚を雇用するとすれば、(そんな企業も企業だとは思うが、それはさておくとして)それを斡旋仲介する官僚が責めを問われるべきなのはいうまでもない。
まして、減免という間接的措置ではなく、現物そのものの税金を原資に事業を実行する組織に、その税金の配り手である省庁がOBを送り込むというのは、税金を私するのに他ならない。予算事務に精通している、事業内容について見識がある、などというのは何の理由にもならない。これが慢性的に行われた結果、先の病院事務職員ではないが、何がおかしいか解らなくなって、OB再就職の為に無用の事業を考えだし、そのために組織を作って送り込む。朝日のいう外郭団体整理というのは、この最悪も極まれり、というケースを征伐することを勧めているに過ぎない。諸悪の根源は、事業官庁が事業遂行を自らの息のかかった団体組織に行わせてきたことにある。役所というのは、特に中央官庁というのは、政策立案をこととすべきであって、その執行に色気を出すべきではない。民間がやった方がうまくゆくに決まっているのは、歴史を繙けば誰の目にも明らかだ。臭いニオイは根っこから断たなければ。いくら芳香剤を室内に撒いても解決策には遠い。
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