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2009-10-07 00:00
(連載)日本こそG4構築を目指すべき(1)
関山 健
東京財団研究員
アメリカが、今後の国際経済を議論する枠組みとして、G4(アメリカ、EU、日本、中国)の構築を模索しているという。筆者は、かねてから、日本こそG4の枠組みを積極的に目指していくべきものと考えていた。そうでなければ、国際経済の趨勢は、むしろ日本を除いたG3(アメリカ、EU、中国)で決められて行きかねないからだ。つい2か月ほど前の7月27、28日の両日、ワシントンDCで「第1回米中戦略・経済対話」が開催された際には、日本経済新聞が、朝刊の一面で「両国が2国間だけでなく、世界規模の課題を広く話し合う『G2』の枠組み構築に動き出した」と評していた。
しかしながら、実は、この「G2」論は、米中の主流派のなかでは真剣に取り扱われていない。むしろ、オバマ政権の東アジア政策は、日本とも、中国とも、東南アジアとも、APECのような多国間枠組みも、使えるカードは全て使って、自国の戦略を遂行していくことが基本方針である。一方の中国においても、米中G2構想については、一部の人にとっては大国としての自負心をくすぐる魅力的な構想だとしても、実は政府に近い主流派の間ではあまり歓迎されていない。アメリカが「日本も、中国も、ASEANも、マルチも」というアプローチを取り、中国も全方位外交を進めている以上、日本も「アメリカ重視かアジア重視か」といった二者択一の外交方針を議論したり、他国に「日本を取るか、中国を取るか」といった二社選択を迫ったりすることなく、「アメリカも、アジアも、EUも、マルチも」という方針の下で日本の国際課題解決に必要な協力を、必要なところから引き出せる国際環境を構築する努力をすべきであろう。
過去四半世紀にわたって、世界第二の経済大国として世界経済をアメリカと共同統治し、東アジア地域の安定についても日米同盟に基づきアメリカとともに共同統治してきたと信じていた日本人がいるとすれば、その人たちにとっては、アメリカが日本だけでなく「日本も、中国も、ASEANも、マルチも」というアプローチを鮮明にしてきたことが、ジャパン・パッシングに見えたり、米中G2構想に見えたりするのかもしれない。
しかし、あくまでアメリカにとっても中国にとっても多くの国際課題の解決において日本の協力は不可欠だと考えているのであるから、日本も、アメリカや中国のどちらか一方に肩入れするのではなく、いずれとも冷静で良好な関係を維持したうえで、必要に応じてアメリカ、中国、さらにはASEANやEUなどとの距離感を調整しながら、日本自身の利害を踏まえた協力や妥協を引き出していく戦略が、今後は必要となろう。中国の台頭は、日本が憂慮しようと反対しようと止められるものではない以上、それに応じて日本自身の対応を変化させていかねばなるまい。(つづく)
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