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2009-10-02 00:00
東アジア共同体構築にあたって重視すべき分野
村上 尚人
会社員
鳩山政権が東アジア共同体の創設を外交課題に据えたことを歓迎したい。今後、アジア諸国との広範な協力を通じ、地域に平和と繁栄がもたらされるものと期待している。政府は当面、アジア各国との間で貿易、投資、環境、医療など個別分野で協力を積み重ねていく方針だが、戦略分野として「規格」を重視するべきだ。
その理由として、WTOでの合意により、各国の規格は国際標準規格に合わせることが義務付けられ、国際標準規格に準拠しない製品は輸出できないこととなっている。しかし、ISOなど国際標準化機関において、国際標準規格は一国一票の投票で決定されることから、ヨーロッパは数の力や地理的優位性(国際標準機構、欧州標準化各機構とも本部はスイスにある)により発言力が強く、かつ戦略性があって、彼らで決めた欧州標準が国際標準となり、欧州産業界が世界で優位な立場を占めつつある。現に洗濯機、ETC、鉄道などで日本規格が欧州規格に敗退し、技術力では優る日本の製品が海外に輸出できない事態が起こっている。
そこで日本としては、規格作成段階からアジア諸国と緊密に連携し、製品やサービスの地域共通規格を整備し、EUに対抗していくべきである。アジアは世界の成長センター、そして世界最大の人口規模を誇り、この地域で推進する規格が国際標準となる可能性が高い。戦略的な規格統一により、日本を初めとするアジア諸国の産業競争力を強化できるとともに、世界経済における日本、そしてアジアの地位向上を図ることが可能となる。
別の課題として、東アジア共同体の関係機関を積極的に日本に誘致し、日本の主導性、開放性を高めることが肝要だ。わが国は世界第2位の経済大国でありながら、敗戦の影響もあってか、国際機関の設置数があまりにも少ない。今後は東アジア共同体の機関本部(例えば「アジア標準化機構」)を日本に招致して、アジア各国のヒトや情報を呼び込み、わが国の活力やソフトパワーを高めていくべきだ。東アジア共同体の推進に当たっては、地域の国際公益の実現とともに、それを日本の国益に結びつけるため、いかにこの地域機構を活用していくのか、骨太の構想力が問われる。
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