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2009-10-02 00:00
(連載)鳩山政権の東アジア共同体外交(2)
石垣 泰司
アジア・アフリカ法律諮問委委員
9月28日、岡田外相は、日中韓外相会議出席のため上海市を訪問した際、中国外交部長との事前の個別会談及びその後の3国外相会議において、「新政権は日米関係を基軸にしながら、長期的には、開かれた地域主義の原則に立って、東アジア共同体を構築することを視野に入れ、積極的にアジア外交を推進していく考えであり、東アジア首脳会議、ASEAN+3、APEC等で日中韓の連携を強化していきたい」旨を説明した。
これに対し、中国外交部長からは「中国は、東アジア共同体の構築を最も早くから提起、支持、コミットしてきた。日韓を含む各国と共に努力していきたい。10月末のASEAN関連首脳会議では金融や経済について意見交換をしたいというASEAN側の提案を支持し、貿易分野やチェンマイ・イニシアチブ等の金融分野や環境分野で東アジアの地域協力を実務的に進めていきたい」等の指摘があった。韓国外相からも、「3カ国が軸となり、地域における経済協力、金融協力を強化していく必要がある」旨述べられたという。
以上の東アジア共同体の構築に関するこれまでの鳩山総理、岡田外相の表明は、新政権の東アジア共同体の構築構想に対する強い関心・意欲を今後の外交の柱の1つとすることを対外的に示すことには成功したといえる。しかし、これに対する中国、韓国側の反応は、とくに「大歓迎」というものではなく、「これまで通り一緒に協力してやっていきましょう」という原則的、外交儀礼的なものであった。というのは、東アジア共同体の構築の目標自体は、今日、地域関係諸国が共有し、小泉政権以降わが国歴代の政権も一貫して支持してきたものであり、上記日中韓外相会談での岡田外相の「東アジア首脳会議、ASEAN+3、APEC等で日中韓の連携を強化していきたい」との発言も、従来からの日本外交路線の延長そのものであるからだ。鳩山政権の独自の具体的構想はまだ見えていない。
ただ、同3国外相会談で、岡田外相が「日米関係を基軸とした東アジア共同体の構築」という表現で主張を表明したことは注目される。従来の政府の東アジア共同体の構築支持も日米同盟が前提にあったことは確かであるが、東アジア共同体に関してとくに「日米同盟を基軸とする」と両者を結びつけて明言することは控えてきただけに、今後関係諸国にどのように受け取られるか、関心が持たれる。さらに、鳩山総理は、就任記者会見の質疑の中で、「アジア太平洋共同体」という用語を使用し、「米国を除外しない方が賢明」との趣旨をも述べており、新政権の東アジア共同体構想が念頭に置いている地理的範囲が全く定まっていない印象をもつ。 要するに、鳩山政権の東アジア共同体構想の具体的構想はまだ十分練り上げられていないということであり、従って、その主張の整合性が関係主要国とのやりとりでテストされ、これが固まるのは、10月下旬のASEAN+3首脳会議、東アジア・サミットや、11月のシンガポールAPEC総会、オバマ訪日等が終わってからになると見られる。それまでは正当な評価は無理ではなかろうか。(おわり)
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