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2009-09-23 00:00
(連載)新政権は麻生政権の対露政策の経験に学べ(4)
袴田 茂樹
青山学院大学教授
となると、これに対するわが国のとるべき姿勢は自ずと明らかになる。つまり、1956年の日ソ共同宣言のみを基礎とした日露交渉は拒否するということだ。日露間には、4島の帰属問題を解決して、平和条約を締結すると合意した東京宣言(1993年)がある。わが国としては、あくまでも東京宣言を前面に出すべきである。この問題に関しては、わが国の過去のアプローチに致命的な過ちがあった。それは、2000年前後に日本の一部の政治家や外交官が、日ソ共同宣言のみを前面に出したアプローチをしたことだ。
しかも、そのときロシアはすでに、同宣言に関しては「2島引き渡しで最終決着」という解釈を明確に打ち出していた。したがってロシア側は、日本は2島決着論に限りなく近づいていると理解した。プーチン大統領の対日基本姿勢も、このときに形成された。今、ロシア政府はこの頃の日本のアプローチを逆手に取って強硬姿勢を展開しているのである。
最後に、重要なことは、外交的な成果を焦らないことである。これまでのわが国の対露アプローチの最大の欠陥は、短期政権の首相、外相、それに外交官たちが、任期中の成果を焦って、しばしば相手におもねる対応をしてきたことだ。新政権は常に、前政権とは異なった新政策をアピールし、目立つ成果を誇示しようという誘惑に駆られる。また内政での支持率を高められると考えて、ロシアに対して「創造的な」妥協案をあれこれ提示するなど、わが国の基本的立場を掘り崩す拙速な対露政策を展開することもある。しかし、領土問題解決のためには、次のような諸条件が整う必要がある。(1)両国に安定政権が成立している、(2)両国首脳間に信頼関係が存在する、(3)問題の解決は、日本だけでなくロシアにもプラスであることを、ロシア側に理解させる、の3条件である。
これらの3条件が存在しないときに、外交成果を焦って、思い付きの軽はずみなアプローチをすべきではない。ロシアは対中国政策の観点から見ても、わが国にとって重要な隣国である。ロシアとの関係の重要性を認識すればこそ、国家主権が関わる平和条約問題に対しては、焦らずどっしりと構えて臨むべきである。(おわり)
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