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2009-09-17 00:00
鳩山内閣への危惧と期待
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
歴史的な鳩山内閣の誕生をまずはお祝いしよう。永年にわたる自民党政権下での政官癒着、さらにはそれを良いことにした官僚の道徳的節度の失墜など、この政権に改革を期待したいことは多い。国民が圧倒的に支持を与えたのは、必ずしも積極的な民主党支援というよりは、「もう自民党はいいや」という感じであったのも事実だろう。とすれば、この内閣の一挙手一投足が4年後の総選挙に大きな影響を与えるであろうことは、いまさら指摘するまでもあるまい。
この内閣には不安材料も多い。まず危惧の第1点は、数合わせの必要があったにもせよ、同床異夢の感なきにしもあらず、の国民新党、社民党との政策協定に基づく連合政権となった点である。衆議院の圧倒的多数が民意であってみれば、できれば単独政権で思い切りやらせてみたかったのだが、いまさらいっても詮無いことかもしれない。が、まちがっても連合政権であるがゆえに、基本政策に影響があってはなるまい。民主政治というのは話し合いによる合意形成が基本だから、その限りにおいて「原理原則にこだわっていればよい」というものではない。だが、さらでだに政治に翻弄されている感のある郵政民有化の将来、さらには自衛隊と日米安保の基本理念を巡っての対応が、だだっ子に振り回されるようなことのないように願いたい。
危惧のその2は、いうまでもなく、意思決定の多頭化に関するものである。まあ、これまでの自民党政権だって、小泉さんのようなごく例外的なケースを除けば、そのきらいがなかった訳ではない。その意味では、別に珍しいことではない。が、体制変換に向けての変革の期待が強いだけに、「いつかきた道」を思わせるような政治意思決定が度重なれば、その期待が全く逆の方向に向かうことは予想される。とにかく初々しい政権だから、総理自らが記者会見で述べたように、1年や2年の猶予期間、試行錯誤は覚悟すべきだろう。だから危惧の向かう方向は、むしろ「初々しい」人々ではなく、甲羅に苔の生えたような永田町論理に精通した政治家たちだ。
楽観的すぎるかもしれないが、新しい日本がこの日からスタートすることを期待したい。それは同時に自民党が生まれ変わることを期待することにも連なる。小選挙区制の下では「何でもあり」の結果があり得る、というのだけが成果であったとは思いたくないし、またそうすべきでもあるまい。
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