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2009-09-15 00:00
(連載)「外交の継続性」という神話(2)
進藤 榮一
筑波大学大学院名誉教授
今私たちが正すべきは、この国を覆う「外交の継続性」の大合唱である。たとえ政権交代があっても外交は国の根幹であるとして、対外関係を深慮して継続しなければならないという論理である。日本外交でいえば、日米同盟を基軸とし、新政権下でも対米関係に最大限配慮すべきだという政策論に至る。
しかし私たちが心すべきは、「外交の継続性」の論理が神話にすぎない現実だ。米新政権下の外交を例に挙げるまでもない。オバマ大統領は内政だけでなく外交でも「チェンジ」を掲げ、イラク撤退から地球温暖化や核廃絶に至る外交の、継続性ではなく大胆な転換を推し進めている。かつてのニクソン訪中を想起してもよい。韓国金大中政権下での対北朝鮮「太陽政策」への転換を想起してもよい。「新しい世界」は、それら先見性ある指導者たちの外交の転換なしに、けっして開かれなかったろう。
だから今問い直されているのは、半世紀有余続いてきた米国中心主義の世界像だ。「外交の継続性」の大義名分下に、ドルと核と安保に支えられた対米依存症候群だろう。日本の対外貿易に占める米国の比重は、70年代中葉に40%。89年でも27・4%を占めていたのに、今や13・7%に急減。代わって対中国が89年の3・5%から20・4%に激増した。そして対アジアが48・8、対ユーラシアでは73・9%にまで至る。
その変貌する国際構造が、G7からG20の時代への転移に象徴される巨大なアジア内需を取り込んで、共通の内政課題に対処する東アジア連携の新たな国家戦略を求めている。その意味で、政権交代後の新政権に期待されるのは、アジアとの共生を大胆に推し進めることだ。その時はじめて、外交だけでなく内政でもまた、21世紀日本の新しい国のかたちが描かれるだろう。(おわり)
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