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2009-09-03 00:00
(連載)ロシア側は日露関係をどのように捉えているか(1)
斎藤 元秀
杏林大学教授
7月9日、主要国首脳会議(G8サミット)がイタリアのラクイラで開催された。その際に、麻生・メドヴェージェフ会談がもたれたが、この会談をロシア側はどのように評価しているのであろうか。それをまず検討してみたい。
2月のサハリンでの日露首脳会談でメドヴェージェフ大統領は「新たな独創的で型にはまらないアプローチ」に基づいて領土問題を解決したいと打ち上げた。しかし、ロシア側には、日本側を満足させるような具体策はなく、そのため、日本側から説明責任を追及されて苦慮していた。5月にプーチン首相が来日したとき、「外交は大統領の専管事項だ」と述べて、同アプローチについて深く立ち入るのを避けたのも、そのためである。所詮、「新たな独創的で型にはまらないアプローチ」という文言は、北方四島返還を求める日本側の主張を切り崩したり、日本側から経済・技術協力を獲得したりするための一時の方便に過ぎなかった可能性が濃厚である。
独創的な提案を行えず、窮地に立っていたロシア側が苦境から脱出するために飛びついたのがプーチン首相離日後、日本の衆参両院が全会一致で採択した「北方領土問題等解決促進特別措置法」改定だった。日露首脳会談で「新たな独創的で型にはまらないアプローチ」について具体的に提案することを逃れる絶好の口実を、ロシア側は得たのである。「北方四島は日本固有の領土である」と言う文言を盛り込んだ改定法案が成立したのに対して、ロシア側は強く反発し、ロシア下院は、同法の撤回を要求する決議を出した。北方四島を管轄するサハリンの州議会に至っては、日露首脳会談直前、平和条約締結後、歯舞、色丹を日本に引き渡すと明記した「日ソ共同宣言」(1956年10月調印)の第9条破棄を求める決議を採択したり、抗議集会を開いたり、在ユジノサハリンスク日本総領事館に抗議声明文を送りつけたりさえした。
北方領土が日本「固有」の領土であるというのは、我が国の従来からの立場であり、なんら目新しいものではない。改定法の目的は、北方領土が返還されないことから地域経済疲弊に追い込まれた根室などの地元に対し、財政支援を実施するためのものであり、日本が従来の返還要求をエスカレートさせたものではない。ところが、ロシア側は、改定法をロシアに対する「非友好的」な行為であり、第2次世界大戦後ソ連領となった択捉、国後、歯舞、色丹に対するロシアの主権に疑問を差し挟むものであり、決して容認できないとして、日本側に根拠なき批判を浴びせたのである。(つづく)
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