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2009-09-01 00:00
逆戻りさせてはならない政官癒着の大変革
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
驚くべき民主党の大勝である。小選挙区制というのはここまで凄まじい破壊力があることを改めて思い知った。先の小泉選挙の時にもそれは感じられたが、あのケースは争点の単純化と、類い稀なる彼のプレゼンテーション能力によって起きた例外的な事象だ、という思いがどこかにあった。だから、民主党は勝つだろうが、単純過半数を制するのは無理ではないか、といった筆者のような誤った思い込みが発生した。小選挙区制の下では雪崩はいつでも起きうる、という可能性を改めて認識しておいた方が良いだろう。まさに二大政党制の基盤は成立したのだ。
ということは、民主党が単純過半数をとれないだろうという前提の下に、様々な合従連衡が起るだろう、それが政党再編への引き金になるのではないか、という広く存在していた観測にも大幅な修正を求めるものになるかもしれない。かもしれない、というのは初めて巨大な力を持った民主党の実務執行能力が未知数であることによる。つまり、反自民・政権奪取という一点において団結していた民主党が、様々な体質を持ったグループの集大成であることによる。それが今後の現実政策執行に当たって、どのような内部調整のメカニズムの統制に服するか、服さないか、という問題だ。このこと自体は、永く権力の座にあった自民党もその典型のような政党だったから、珍しいことでもなんでもないが、それを調整すべく考案された派閥システムが最近とみに老化、劣化現象を起こしていることと考え合わせると、それほど簡単な話ではないことが解るだろう。
とすると、途は大きく二つに分かれるように思う。例によって、旧レジームの尻尾を引きずっての観測だから当たるも八卦、であることは先刻ご承知だとは思うが、一つはなんだかんだといいながら、このまま民主・自民の二大政党が存続し、少数政党を含むいくつかの政治グループの吸収、排除という過程を経ながら収斂してゆく、というもの。いまひとつは、民主党の内部矛盾が統制不能になって政党再編を含む大きな政治情勢変化を作り出してゆく、というものだろう。それがいずれの方向をたどるにせよ、たどらないにせよ、政官癒着を中心としたこれまでの政治システムは大変革を望まれている。この点だけは逆戻りしないだろうし、させてはなるまい。
バラまき路線そのものはどこかでブレーキがかからざるを得ないが、この官僚システムと政治の関係は、いわば設計図なき構築が始まるだけに、骨抜き、揺り戻しを含む様々なステップが予想されよう。最悪の場合は、揺り戻し是か非か、というかたちでの総選挙さえ辞さない、というくらいの覚悟で臨む代物だ。先の政党再編を含む幾つかのシナリオの争点は、願わくばあまり矮小なテーマを巡ってのものでなく、ここにあってほしいものだと思う。
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