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2009-08-30 00:00
(連載)FTAは地域統合の本筋ではない(1)
山下 英次
大阪市立大学大学院教授
外務省も経済産業省も、この数年、EPAの締結交渉に大変力を注いできているし、アジア地域統合というと、多くの人は、まずFTAを頭に浮かべるようである。しかし、本来、FTAやEPAが地域統合の主役ということでは全くない。
ヨーロッパでは、1950年代に6カ国で欧州統合を開始したが、FTAの段階をスキップして、関税同盟から始めた。そして、その後、1993年から共同市場、1999年からは単一通貨を導入した。他方、欧州自由貿易地域(EFTA)は1960年に発足したが、これは、当時、EECの非加盟国であったイギリスが、他の非加盟国を集め、合計7カ国で発足したものである。EFTAは、時を経るにしたがい、メンバー国を変えて今日に至るまで存続しているが、一貫して欧州統合に参加していない国々(EU非加盟国)による枠組みである。ちなみに、現在のEFTA参加国は、スイス、ノルウェイ、アイスランド、リーヒテンシュタインの4カ国であるが、いずれもEU非加盟国である。当然のことながら、これらの国々は、関税同盟の以前のFTA(自由貿易地域)の段階にとどまっている。
南米のメルコスールは1995年に発足したが、これも関税同盟から始めた。また、中東では、ペルシャ湾岸6カ国の枠組みであるGCC(湾岸諸国会議)は、2003年に関税同盟となり、さらに2008年からは共同市場になった。
東アジアにおけるFTAのネットワーキングは、製造業の工程別分業のネットワークの効率をさらに高める役割を果たすという意味では、基本的には好ましいと言える。しかし、東アジア全体のFTAについては、現在、専門家による検討がなされているが、動きが遅すぎる。しかも、ASEAN+3の13カ国と東アジア・サミット(EAS)の16カ国の2つの枠組みが、同時並行的に議論されているのが実情である。これも、2005年以降、東アジアで2つの地域的な枠組みができてしまい、勢力が分散されてしまったことの弊害の一つである。(つづく)
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