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2009-07-29 00:00
「消費税隠し」は小沢の選挙戦略
杉浦正章
政治評論家
「財源があやふやなばらまき」との大合唱に対して、民主党代表・鳩山由紀夫は「責任を取る」と、はやくも「首相辞任」を明言したが、問題はその時期。「4年たってもできないときは」の条件がついている。今現在の公約ですら「不安」であるのに、4年後の「辞任公約」など130%あてになるまい。マニフェスト問題をせんじ詰めると、すべては財政再建の道筋、つまり消費税導入の是非に直面する。責任政党であるためには、もはや消費税問題を避けて通れない。民主党は同問題でほおかむりの逃げの一手を決めこまず、堂々と道筋をつけて選挙戦に臨むべきだ。
消費税にフタの方針は、言うまでもなく前代表・小沢一郎の戦略である。小沢の念頭には“集票テクニック”しかなく、これに反するものは全て除外する、のが基本だ。消費税の導入などという話は、夾雑物でしかない。小沢は消費税と選挙の歴史を見ているのだ。「愚直にやる」と一般消費税導入を明言して衆院選挙に突入しようとした大平正芳が、ごうごうたる世論の反対と自民党内の動きに押されて、衆院選公示日の第一声で導入構想の撤回に追い込まれ、敗北した。これを皮切りに竹下登も、橋本龍太郎も、消費税で選挙に敗退し、いわば小沢にとって、消費税は選挙のトラウマなのだ。幸い自民党がこれをまた持ち出そうとしている。「しめた」と考えているのだ。まさに「選挙あって、理念なし」のポピュリズムである。
一方自民党は31日に発表するマニフェストで、消費税率引き上げについて社会保障目的税化を前提に「経済状況の好転後、遅滞なく実施する」と導入方針を明記させる方針のようだ。与党は既に昨年末の中期プログラムに経済状況の好転を前提に、11年度から消費税率引き上げが可能な法制上の措置を講ずることを盛り込んでおり、この方針に沿ったものだ。国と地方の債務残高は、2009年度末に800兆円を超える見通しであり、全治3年の不況を脱した後は、もはや避けて通れない状況にある。民放テレビのニュースキャスターが口を極めて批判するのは目に見えているが、マスコミの本筋である新聞論調は導入やむなしである。
むしろ民主党に批判的だ。読売新聞は7月29日付社説で「民主党の政権公約には、財政再建についての具体的な記述はない。それどころか、多額の歳出が必要な政策が並んでいる」と批判。毎日も「安定財源確保となれば、消費税や所得税、資産税に手を付けなければならない。選挙向けの政策に終わらせないために、負担問題から逃げることはできない」との主張だ。民主党はもはや選挙テクニックばかり考えて、ほおかむりをしているときではない。鳩山は4年間論議もしないという方針を転換せざるを得なくなったが、それなら財政再建への道筋を示して、堂々と選挙戦に臨むべきではないのか。有権者にこびを売るだけのポピュリズム選挙は、もうあきあきされていることに目を向けるべきだ。
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