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2009-07-17 00:00
「解散予告」戦術の妙
花岡 信昭
ジャーナリスト
解散の日程を1週間前に予告するというのは、長い間、政治の世界を見てきたが、はじめての経験だ。これは「麻生おろし」の動きをストップさせることに大きく役立った。公明党の主張する8月30日投票も、21日の解散ならぎりぎりで可能になる。麻生首相は都議選前から、14日解散、8月9日投票のシナリオを描いていたらしい。都議選の結果がどうであれ、だ。
それが大敗北となって、解散先送りを余儀なくされた。だが、じっと黙って耐えていたら「麻生おろし」に火をつけてしまう。だから「予告解散」という妙手が浮上した。これはいったいだれの発案なのか。そこをつついてはみるのだが、よくわからない。それにしても、前代未聞のビッグシナリオである。
そこへきて、古賀誠氏が選対委員長辞任ときた。総選挙を前にして、その責任者が辞任するなどというのは、本来はありえない。だが、「麻生おろし」をつぶす効果としてはメガトン級だ。東国原宮崎県知事を追いかけてみたり、古賀氏らしからぬ行動だなあと思っていたのだが、この辞任表明で、古賀氏は実力政治家のすごみを見せた。こういう激動政局では、政治家の力量がもろにあらわれる。
「麻生おろし」を叫んでいる人たちが急速に小さく見える。ならばだれを推し立てようとするのか。戦略も組織的な体制も見られない。あるのは、自身の選挙のことだけだ。麻生首相との距離感をどの程度に置いていたら、自分の選挙に有利か、という計算が先行している。それが透けて見えるから、「麻生おろし」が本物にならない。かつての「三木おろし」の例を引き出すまでもなく、ときの総理・総裁を引きずりおろそうとするからには、「死闘」が展開されていいはずだ。それだけのダイナミズムがない。これもまた、自民党の金属疲労の一断面か。
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