ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2009-07-14 00:00
(連載)北朝鮮の核問題と北方領土問題(1)
袴田 茂樹
青山学院大学教授
北東アジアにおいては、狭い国家利益の枠を超える安全保障システム構築の試み、あるいは国家間の信頼関係の試みがこれまで成功したとは言えない。特に、北東アジアでは、最近は北朝鮮の核ミサイル開発問題という地域や世界の安全を脅かす深刻な問題が強まっている。これに対抗するために、韓国ではすでに核保有論が台頭している。日本人はこの問題に特別に懸念を強めているが、それには理由がある。それは、将来北朝鮮の核ミサイルがどこかの国に向かうとすれば、それは中国やロシア、米国ではなく、同胞の韓国でもなく、まず日本が標的となると考えられるからである。
北朝鮮の核開発がさらに進めば、わが国にも核保有論が台頭することは避けられない。しかし、われわれ日本人の大部分は、日本が非核国のままでいられるような国際環境を切実に望んでいる。これまで日本が核兵器保有の道を歩まなかった理由は3つある。第1は、唯一の被爆国として、核兵器に対する国民のアレルギーが強いことだ。これまでほとんどの日本国民は、日本が核保有国になることを望んでおらず、今も圧倒的多数の世論は、核兵器保有に反対している。第2は、アジア諸国や米国を含めての国際世論も、日本の核保有には厳しい批判の態度を有しており、わが国も当然、国際世論に配慮しているからである。第3は、日米安保条約および米国の「核の傘」を信頼してきたからである。
しかし、もし北朝鮮が核兵器の開発を今後もさらに進めるならば、さらに韓国も核保有の道を歩むようになれば、どうなるだろうか。第1に、わが国の国内世論が変わる可能性がある。第2に、ロシア、中国、朝鮮半島が核を保有するようになったとき、「日本だけが非核国に留まるべきである」という国際世論も、説得力を失う。それに加えて言えば、日本人は、米国がロサンゼルスを犠牲にしても日本を守るというほど、米国の「核の傘」を信頼しているわけではない。
北朝鮮の核開発を阻止し、日本における核保有論の台頭を抑制するためにも、北東アジアにおける安全保障体制と諸国間の信頼関係の構築は緊急の課題である。ちなみに、私は、これまでの北朝鮮問題をめぐる6者協議の在り方には、日本政府の態度も含めて、批判的であったが、ここではそのことには触れない。(つづく)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会