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2009-07-08 00:00
軍事掃討から民生安定に軸足を移すアフガニスタン作戦
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
イラクから撤収し、本来の9.11の元凶であるアル・カイダの立てこもるアフガニスタンに軍事力を集結する、というオバマの方針は着々と実行されていることはご承知の通りだ。主力を東部と南部に投入。しかも軍事掃討よりは民生安定を主目的にする、という米軍にとってはやや勝手の違う作戦になっているようだが、それなりの成果を挙げている。というより、カブールの政権、すなわちアフガニスタン大統領が、「カブール市長」と揶揄されるくらい地方に実効支配が及ばず、事実上タリバン支配を黙認していたに等しい状況だったことを考え合わせれば、この作戦の方向は実情に適合したものだと言えよう。
もっとも、パキスタンとの国境はほとんどフリーパスの状況で、米軍の圧力に対抗するタリバン主力は、パキスタンから活動を行っているという情報もある。さてこそ、中央・南アジア政策は相互連関し、さらには中東問題にもリンクする訳だから、オバマ外交は連立方程式を何本も解かなくてはならない。彼の外交能力は相当な手腕だと見たが、それはともかく、問題は日本の協力姿勢である。米軍が本来の武力行使から、民生安定に軸足を移している、ということは、わが国の市民活動、さらには自衛隊にとってもこの上ない状況が揃ってきているというべきではないか。
「顔の見える」(ちなみに筆者はこの表現は好ましくないと思うが、それはともかく)援助のお好きな外務省にとっては、願ってもない機会というべきだろう。事実、このお役所にしては珍しく機敏な対応を見せ、緒方イニシアティブを中心とした難民対策、地雷除去に向けての活動、などなど6億ドルほどの支援をコミットした。何よりも特筆すべきなのは、この分野におけるジャパン・プラットフォームの大活躍だ。
とかく資金難で、志のみありて、たいしたことも出来ない(決しておとしめていっている訳ではない、為念。)日本のNPOには珍しく、財界からの相当な支援を受けている他、ODAからも、これまでのNPO支援に比べれば二桁か三桁くらい多い額を引き出している。これまでにこのブログでは、市民社会組織の活性化とその認知こそが日本を官僚国家、政官財癒着のトライアングルから救う途だと再三述べてきた。その一つの典型、あるいは可能性を、ジャパン・プラットフォームに見る。残念なのは、官と財の支援に偏って、人的資源以外の面で「民」も主要な柱の一つだとは言えないことだが、それをいうのは、それこそ望蜀というものだろう。
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