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2009-06-27 00:00
東アジア共同体と興亜論者たちの流れ
山下 英次
大阪市立大学大学院教授
20世紀初頭の日露戦争で日本が勝利したあと、アジア各国から独立の志士たちが続々と日本にやってきた。その人たちを厚く受け入れたのが、頭山満、大川周明、内田良平を中心とする日本の興亜論者たちであった。当時の興亜論者は、欧米列強の植民地支配からアジア諸国を解放するという熱い理念を持っていたからである。
昨年11月、こうした日本の興亜論者とアジアの志士たちとの強い結びつきを紹介した坪内隆彦の力作『アジア英雄伝:日本人なら知っておきたい25人の志士たち』(展転社)が発行された。本書には、中国、朝鮮、フィリピン、ヴェトナム、タイ、マレーシア、インドネシア、ミャンマー、インド、パキスタン、スリランカ、トルコの12カ国からやってきたアジアの独立の志士たちと日本の興亜論者たちとの間の数々の感動的なエピソードが綴られている。
今日の日本にも、興亜論者の流れをくむ人たちはいるが、どうしたことかその大半は、いま進行しつつある東アジア共同体をむしろ目の敵にしているようである。それは、基本的には、現在の中国に対する不信感から来ている。すなわち、いわゆる東アジア共同体は中国主導になるもので、けしからんということのようである。この点では、奇妙なことに、現在の興亜論者の流れをくむ人たちは、自国に自信を持てない日本の主流派の考え方とそっくり同じようである。
他方、興亜論者の流れをくむ人たちは、今日の日本が真の意味での独立国ではなく、したがって今後は独立を目指さなければならない、ということではほぼ一致しているようである。私も、その点については、全く同感であるが、誰からの独立かといえば、今日の日本の場合、それは無論、アメリカからの独立にほかならない。しかし、それを実現するには、アジア、とりわけ中国に背を向けたままではどうにもならない。私は、興亜論者の流れをくむ人たちと、アジア統合論者を結びつけ、力を一つにする必要があるのではないかと信じている。
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