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2009-06-19 00:00
都議選でタイタニックとなるか?:自民党内の右往左往
杉浦正章
政治評論家
いまの自民党は、名家の太ったネズミも含めて、ネズミが「タイタニックだぁ~」と甲板を右往左往している段階だ。問題は、派閥の領袖や元首相・森喜朗などが「政局」で動くかどうかだが、少なくとも7月12日の都議選前にことを起こすことはあるまい。したがって都議選前に首相・麻生太郎が解散に踏み切ることもないだろう。ましてや都議選との同日選挙もあるまい。依然、7月解散で8月か9月上旬の総選挙が主軸となっているとみるべきだろう。
重要法案がきょう19日に成立して、焦点は「政局の動向」に絞られる。いまのところ、寡聞にして当選した時だけしか名前を聞いたことのない議員らが「総裁選前倒し」だの「首相の信任投票」だのと騒いでいる。だが、若手が先鞭(せんべん)をつけることはあり得るから、バカにしてはいけない。元官房長官・塩崎恭久の「騎馬戦の馬が崩れている」発言などは、ほれぼれする表現だ。しかし、まだ火の手が上がるほどではない。焚き火に集まっている程度の段階だ。来週塩崎が個別の動きを統合する会合を開くようだが、大きなうねりになるかどうかは微妙だ。派閥の領袖らが締め付けに乗り出している。
こうしたなかで鳩山邦夫の一挙手一投足を民放テレビが追い、鳩山は英雄気取りでこれに答えている。「新党だ」「総裁候補だ」と騒がれて、居ながらにして選挙運動をこなしている。若手議員27人を豪邸に集めて、野菜をふるまう会を開き、「ほんとうに悔しい」とのたまったが、本当の悔しさの実感はこれから訪れるだろう。自民党内は、各派領袖から一斉に鳩山批判の声が上がっている。元幹事長・伊吹文明が「自分への支持率を上げて、党の支持率は大幅に引き下げている」と皮肉れば、前官房長官・町村信孝も「辞めた閣僚が首相を批判するのは、閣僚をやる資格がないのと同じ」とこき下ろす。鳩山包囲網は出来つつある感じだ。鳩山は何不自由なくわがままいっぱいで育った“腕白小僧”からいまだに抜け出ていない。自民党を93年に飛び出さなければ、竹下派・経世会を継ぐことも出来たのに、常に短慮が災いしている。支持しているのは、選挙に弱い若手議員ばかりで、新党と言っても自民党の看板なしでは戦えない議員ばかりだ。
鳩山の動きはともかくとして、若手が動き出した「麻生降ろし」が、どう展開するかは未知数だ。やはり、都議選の結果が左右するだろう。内閣支持率の低下が首都の場合確実に影響するし、新都民銀行の石原大失政が影響して、都議選は敗北必至だ。その場合、森喜朗の発言がどちらを向くかだが、意外と義理堅いから、まずは麻生支持を続けるだろう。麻生は「麻生降ろし時間切れ」を狙って、都議選から間を置かずに解散に踏み切ろうと思えば、不可能ではない。大阪地検の「郵政不正」捜査が民主党を直撃するかどうかなどまだ時限爆弾もある。おそらく解散権を握っている麻生が、7月8日からのサミットから帰国した後、都議選を経て、延長国会会期切れの7月28日までに解散に踏み切る流れが軸となって展開するだろう。一部に自ら辞任するとの見方があるが、それほどヤワではないだろう。
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