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2009-06-03 00:00
自民党は浮き足立っているときか
杉浦 正章
政治評論家
まるで落城寸前のうろたえぶりではないか。自民党議員らも政権政党ならもう少し落ちついて物事を判断してはどうか。ここにきて論議されている三大愚策を上げよう。背景不明の「総裁選挙前倒し」、やると思ったらやらない「世襲制限」、有権者にこびを売る「定数削減」。いずれも底流には「総選挙敗北」への焦燥感が重くのしかかっているのだ。麻生にも大軍を粛々と率いる重さがない。政権末期とはこういうものか。
突如総裁選挙前倒し論を言い出したのは、町村派の山本拓。当選したときしかメディアに名前が登場した記憶がない。普段いささかセンスに欠けるヤジをばかり飛ばしているので有名な方のようだ。それが「倒閣運動ではない」と弁明しながら「倒閣運動」の先鞭をつける動きに出た。民放テレビのコメンテーターや、みのもんたの嬉しそうな顔が目に浮かぶ。両軍対峙の関ヶ原の戦を前にして味方の大将を代えようと言うのだからすさまじい。発案者は今後ようやくテレビへの出番が回ってくるだろうが、もしかしてそれだけが狙いかも知れない。選挙区向けに“仕事”しているように見えるわけだから。総裁選挙を前倒しして誰か「敗軍の将」を引き受けてくれる奇特な政治家がいるのだろうか。なったとたんに首を落とされかねないというのにだ。さすがの元幹事長・中川秀直も陰で糸を引いていると思われてはたまらんと思ったか「そういう状況になっているとは思わない」。中心の核が悪すぎて、広がりはない。渡辺喜美離党の時のように一過性だ。
一方、「世襲制限」の旗を振っていたと思った選対副委員長・菅義偉が2日、「次の次の総選挙」からの実施を選挙公約に掲げることが望ましいと言い出した。「次の次」とはこの政治状況においてはやらないことと同じ。盟主・麻生太郎の“ぶれ”に側近が感化されてはどうしようもない。
極めつきは定数削減論議だ。民主党が「衆院比例選の定数80削減」に加え、参院定数の削減までやろうとしているのに焦って、自民党内でも定数削減への動きが闊歩している。しかし何で定数を削減しなければならないかは根拠が薄弱だ。比例の定数を無くすというのならむしろ小選挙区比例代表制という選挙制度そのものを、中選挙区制に戻すのが本論ではないのか。コスト節減というが多くの国民は立派な政治が行われるならコストはいとわないだろう。民主党の比例削減は小沢一郎の公明党つぶしの執念が反映されたものだ。だいいち自民党に唯一残った“選挙支援団体”公明党の選挙応援が受けられなくなって良いのか。こういう論議がなされること自体が、小選挙制のもたらした弊害だ。大局を見られずに重箱の隅をつつく小粒の議員ばかりを生み出している。
解散・総選挙もここまで来ると事実上の任期満了選挙と変わらない。麻生は解散権の行使と言ってもせいぜい1か月の幅しか与えられておらず、解散権は封ぜられたのと同じことだ。もう自民党はじたばたせずに、奇策は使わず政策の本論を戦わすべき時ではないか。
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