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2009-05-20 00:00
アジア基軸通貨をめぐる日中の争い
田村 秀男
ジャーナリスト
「チェンマイ・イニシアティブ」というと、いかにもわかりにくいが、要は助け合い基金のことだ。各国は資金を出し合って、メンバー国が通貨危機に見舞われたときにその基金からドルを引き出して、防衛しようというわけだ。1997ー8年のアジア通貨危機の教訓を踏まえている。
一見するともっともらしい相互扶助機構だが、その最大の問題は、ワシントンによる縛りから脱けられないことにある。いくら通貨融通の枠を広げても、いざ緊急発動というときに、ワシントンのIMF(国際通貨基金)の融資条件(コンディショナリティー)をクリアしなければならない、という制約が課せられている。つまり、資金供出国が自主的に資金融通の意思決定ができないことだ。
IMFの管理下に置かれているわけだが、イニシアティブ参加のアジア各国はお互いに融資条件を課そうにも、政治的な配慮が働き、甘めの条件しか付けられないのではないか、という自主性のなさがあるようだ。もちろん、自主的な政策監視機関をアジアが持てば、IMFに頼らなくても済むようになるが、その場合でもどの国が主導権・裁量権を持つか、が問題になってくる。はっきり言えば、日本か中国か、という日中のライバル争いが表面化する。今回、日本は中国(香港を含む)と並び最大の384億ドル(約3兆8000億円)を提供することになった。日中が同額ということになったのは、日中とも主導権を渡したくない、という水面下の駆け引きがあったからに違いない。
ただ、日本には円という国際通貨があり、6兆円規模の円資金供給を、与謝野馨財務相がASEANプラス3とこれに先立つ日中韓の財務相会議で表明して、中国との実力差を見せつけた。各国が日本市場で円建て外債(サムライ債)を発行する際、国際協力銀行が最大5000億円保証することも打ち出し、人民元の国際化が遅れている中国に日本の実力を誇示した。しかし、本格的に円をアジアの基軸通貨にする戦略は日本に不在で、貿易・通貨・金融で総合力を高める中国の攻勢に対する付け焼き刃のような対応のように思える。
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