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2009-05-06 00:00
地政学的戦略を超える智恵
四条秀雄
不動産業
地政学(geo-politics)は、資源の移動である物流の制御能力を地理上の諸要素に投影した時に起きる、政治や軍事の様相を分析する学問といえるかもしれません。古くから、海峡や峠は地政学の関心事でありましたし、内陸の国家間にある緩衝国や、大陸国と海洋国の間にある島嶼や辺縁国家も地政学の関心事でした。それらは、物流を効果的に制御するという地理的観点から見た場合の戦略的要衝でした。
現在起きているウクライナとグルジアをめぐるロシアの動きも、石油や天然ガスという資源の移動をめぐり、その地理上の要衝を抑えようとする戦略的問題といえるかもしれません。ロシアは伝統的に国境の外に緩衝国を置いて、その国を衛星国化することにより自国の安全を確保しようとしてきました。他の欧米諸国も同様ではありますが、その動きはもっと間接的であり、オブラートに包まれています。
海賊問題で揺れるソマリアも、古来東西交流の地理的要衝であり、典型的な地政学的様相が見られる場所です。歴史的には、大日本帝国の共栄圏やナチス・ドイツの生存圏も、資源の移動を排他的にコントロールできる勢力圏の拡張を防御的に目指すものだったのでしょう。他方で、米英仏などの植民地は、積極的・攻勢的な勢力圏の配置を目指したものと言えるでしょう。
「貧困国は、なぜ貧困国なのか」という問いに答えて、「資源の罠」とか、「内陸国の罠」とか、「統治の罠」とかと、いろいろな理由が指摘されていますが、その多くは地政学的な理由と関わりが深いように思われます。地政学的戦略が追求される究極的な動機は、人口の増大にあると思われますが、そうした戦略のぶつかり合いによって、結果的に合理的な人口管理の可能性が失われ、むしろ紛争当事国においてかえって人口が急激に増大している状況を見ると、個別国家の地政学的戦略を超える全人類的な智恵こそが今求められている本当の戦略なのではないかと感じざるを得ません。
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