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2009-05-04 00:00
人間の価値を低める近隣窮乏化政策
四条秀雄
不動産業
歴史的に見れば、いつかは人間の価値は等しくなるだろう。EUは、域内の人間の価値がおおよそ等しくなったと看做したので、通貨を共通なものとして、域内において人間の移動の自由を認める方向に踏み出した。日本が90年代前後から半ば強いられた形で円高政策を進めてきたのも、人間の価値を等しくするためといえる。その結果、日本の成長は急激に減速し、人間の能力がそれほど変わらないこと、日本経済がモンスターでないことが明らかになった。
最近の中国が漸進的に通貨を切り上げているのも、同じ理由だ。強いられた円高に苦しんだ日本を反面教師として、国内での調整と対外的な調整のバランスを考えたものだろう。中国国内における労働者の所得の向上が保証されるように、政府の後押しが持続的に行われることがとても重要だ。
ある国の政策が、世界全体や、アジア地域全体から見て望ましいかどうかは、通貨を上げるなら、分配政策等でまんべんなく価値の上昇を享受できるように制度作りが行われているかどうか、で判断できる。
通貨を下げるなら、所得が上昇するか、医療・社会福祉などの現物給付が増加しているか、で判断できる。通貨が大幅に下がりながら、ワークシェアリングと称して賃金をカットし、貿易黒字を稼ぎ出している国があるとすれば、その国は、古典的な意味で近隣窮乏化政策を採用していると言わなければならない。
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