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2009-04-25 00:00
「公益法人制度改悪」を推進するお役人の魂胆
入山 映
サイバー大学客員教授・(財)国際開発センター研究顧問
4月19日の朝日新聞朝刊は、同紙船橋主筆と米国ガイトナー財務長官とのインタビュー記事の中で、「日本政府が自国の存在感をより強いものにとどめおくためにG7に固執した結果、G20を表看板にして実は米中G2を推進しようとした米国の舵取りが失敗した」という見解を表明した。この新聞にしては、珍しく平衡感覚のある意見だと思う。ただ惜しむらくは、政府のスタンスの悪さを指摘して満足する、という同紙のステレオタイプから脱していない。そもそも「なぜ」そんなスタンスをとったのか、とらざるを得なかったのか、という解説が欲しかった。それとも、そんな自明なことは、朝日新聞の読者たるもの、敢えて書くまでもなく解っているはずだ、ということだろうか。
日本の外交がG7中心で行くか、G20により大きな将来を見いだして、そちらに舵を取るか、とだれが決めているのだろうか。首相です、外務大臣です、政治家です、と本気で考える人はいないだろう。そういうことを考えることで給料をもらっている人の知恵を借りて、政治家がスタンスを決める、ということである。そんな一文の得にもならないことを考えて給料をもらえる人は誰か。お役人だ。日本のお役人は、世界的に見てかなり清潔度と知的能力は高い。しかし、制度的にお役人とか、お役所というのは、現状維持、位置エネルギー保存のために行動するように出来ている。別にそれが悪い訳ではなく、そうであってもらわなければ困る、というのが制度設計の基本原則だ。官僚に立法行為までやってのけられては、この世は闇だ。
諸事順調で、昨日の通りの今日、今日の通りの明日、で何の不足もないときには、有能な官僚ほど頼りになるものはない。ところが、パラダイムシフト、時代が転換局面にあるときに、官僚が主導権を握ると、これはひどいことになる。使命感を持って現状維持に邁進されたりするから、破局的な事態を迎えることになる。さすがに民主主義先進国では、そうならないように、政策立案、つまり転換局面に際しての知恵袋のようなものは、別に制度設計に織り込んである。それも意識して官僚、つまりお役人の支配から自由であるように設計してある。米国のシンクタンクというのもその一つだ。
ところが、日本のお役人はあまりに優秀だから、官製シンクタンクまで創ってしまった。なんのことはない、ワンマン・オーナー社長と同じで、自分と意見の同じ人は優れた愛いやつで、意見を異にする人はバカで放逐することになる。これに異を唱えられるのは本来政治家しかいない。ところがお役人に“よいしょ”をされて、舞い上がるような指導者しかいないと、ことは面倒になる。臭いニオイを根っこから断つためには、今日、明日、オカネにならないようなことを考えて、それで給料がもらえる人を、お役人以外につくる他はない。それが民間非営利組織といわれるものの真骨頂だ。お役人が、その息の根を止めるべくすさまじい「公益法人制度改悪」を推進しているのは、その意味で日本官僚制の「優秀さ」を示す生きた証拠だ。
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